「アンケートまとめ」


主な登場人物
ラッセル シーハーツの執政官。周りに振り回されるカワイソーな人。
ロメリア シーハーツ女王にしてアペリスの聖女。シーハート27世とも呼ばれる。

※この二人は幼馴染という設定です(たぶん付き合ってるよ!)。年齢はラッセルの方が上です。



 庭から見上げた空はどこまでも青かった。
 爽快な気分にさせてくれる晩春の青空。夏の訪れまではまだ間があるというのに、日差しはすでに肌を焼く力強さを感じさせた。激務に追われる身にこの日差しは少々刺激が強い。日陰を選んで歩いていくことにする。すると、若々しい緑の葉をつけた木々の間を風が通り抜け、彼の衣の裾を揺らした。
 自身の執務室から持ち出した紙束を抱えなおすと、はぁ……と溜め息を一つ。彼が持っている書類には調査結果がまとめられている。これからの国策に活かす様、女王の勅命にて行ったものだ――彼自身が。調査項目とその結果を思い出し、彼の眉間に皺が寄る。そして、再び溜め息をもらす。
「……どうしてこうなった」
 散らかった部屋――しかも人の手によって――を目前にした時のような渋面を作り、彼は呟いた。女王とは長い付き合いだし、世界中で一番大切な人であることは間違いないのだが、彼女の考えることは時として彼の理解の範疇を超えている。何でこんな妙なことを行おうとするのだろう? 他にも処理しないといけない案件ってなかったっけ?

 王城の裏手にある庭は女王の私的な空間とされており、立ち入れる者はごく僅かだ。小さな黄色い花を無数につけた低木の脇を通り抜けると、小さな東屋がある。そこに腰かけ、優雅に茶なんぞ嗜んでいるのが彼の唯一の主にして、国中の民から尊崇されるロメリアだった。
「やっと来てくれましたね、ラッセル」
 女王は実に幸せそうな笑みを浮かべる。これを持ち出されてしまうと自分は弱い。ラッセルは小言を言うのを諦め、大人しく彼女の隣に座を占めた。
「さて、問題のあ……あ、アンケートですが、どうなりましたか?」
 普段使わぬ言葉はどうにも言い難い。ロメリアは三十日ばかり前のことを思い出した。女王の勅命としてラッセルに行わせた調査は、宇宙――彼らにとっては空の彼方――から来た知人たちに頼まれたものだったのである。“アンケート”という言葉に最初は首を傾げたものの、説明を受けてみれば、ごく簡単な調査であったため引き受けることにしたのだ……やや気になる言葉もあったことだし。
「調査結果として十分な母数を確保することはできませんでしたね。内容が内容だけに対象が限られてしまいますから」
 彼が部下を使わずに手ずから行った理由がそれだ。
「彼らもこの妙な調査、結果は期待しておりますまい。まず一つ目から見てみましょう」
「ええ、そうね」
 二人きりということで、幾分くだけた口調でロメリアも頷く。
「一つ目はシーハーツとの出会い……何でこんな事を知りたがるんだ」
 ラッセルはここに来る前に一通り目を通している。それでも疑問が消えない。
「回答には何て書いてあるの? ……ええと、ゲームプレイ時(ネルさん)、発売前の立ち絵(ネルさん)、フェイネル二次創作から色んなキャラクターたちに……あらあら、ほとんどネルばかりね!」
 ロメリアは声を上げて笑い出した。
「最初に登場しますから、仕方ありませんな。ラーズバード嬢が回答に出てこなかったのが意外ではありましたが」
「そうねぇ、あちらも熱烈な崇拝者がいるのに不思議ね。DC版で操作キャラクターにならなかった時の苦情件数はとんでもないものだったわ」
 臨時で設置した王室なんでも相談窓口に長蛇の列ができ、対応にあたった職員を激しく疲弊させた事件だ。
「さて、次にいきますよ。次は働いてみたい職場」
「ネルのいる封魔師団が突出していて、他は王宮、施術兵器研究所、職人ギルド……となっているわね」
「王宮と研究所に希望があったのは何よりですが、この国の未来が非常に心配ですよ」
「これって、候補には全ての部署を入れたのよね?」
「はい。それでも、です」
「…………」
「…………」
 さすがにこの結果には二人して沈黙せざるを得ない。そしてここにも現れるネルの人気。
「気を取り直して、次の項目にいきましょ」
「はい。次は住んでみたい場所ということで……ええと、王都が圧倒的支持を得ていますな。次いでペターニ」
「これは……まあ、妥当よね」
「生活の利便性や治安を考えるとこの二都市に集中するのは仕方ないでしょう。ただ……」
「ただ?」
「この街にはネルの実家があります」
「――あっ」
 アリアス在住を希望するクレア信者はいないのだろうか? ロメリアは疑問に思った。
「あ〜、ご安心ください。次の項目はクレア専用となっていますから。少々変態っぽいですが」
「そうなの? えーっと、クレアが操作キャラクターになったら着せたい服……」
 ロメリアはラッセルの手元の報告書を覗き込んだ。それによると……


・ネルと対になるデザインの服
・ネルの服(ついでにネルにクレアの服を着せる)
・エレナやディオンの施術師の服
・礼拝服(カソック)
・騎士鎧
・武者鎧
・縦セーター



「シーハーツ関係の服は納得だし、他の職業の装束というのも見てみたいわね。でも最後に一つだけ気になるのがあるわよ」
「セーター」
「そう、セーター。これってセーターを含む一揃えなのかしら。それともラブコメにありがちな、何故か裸に彼セーター状態かしら?」
 どこでそんな言葉を覚えてきたんですか、ロメリアさん。
「セーターと組み合わせるのはタイツとニーハイ、どっちがいいかしら? ねえ、貴方はどう思う?」
「知りませんよ、そんなこと」
 どう答えても後腐れがありそうな質問だったので、彼は女王の御下問をばっさり切り捨てた。

「ここからは、スマートフォン用アプリ スターオーシャン:アナムネシスに対する質問です」
「私たちがよく解らない項目ね」
「資料によりますと、ぱんつのスクショをとるゲームだそうです……って、シーハーツ国民の人権が侵害されていませんか」
「ペターニから下着の売り上げが急上昇していると報告がきていたのはこれね。皆、見られてもいいおパンツを買ったり、憧れのあの人と同じおパンツを履いてみたり……」
「全く、意味が判りませんよ。あと、曲がりなりにも一国の女王なのですから言葉を慎んで!」
 スターオーシャン:アナムネシス、ホントはちゃんとしたゲームだよ。
「……それでは気を取り直して。アプリをやったことがあるか、否か。これは大半の方がよくプレイしているとの事でした。しかし、やっていないという人も数名おりました」
「あら、これを書いている人以外にもやっていない人がいたのね。アプリゲーはライフスタイルやスマホ環境も影響しますから、当然といえば当然の結果かしら」
 ロメリアはうんうんと頷くと、報告書のページをめくった。
「さ、本日のお楽しみにいきましょ。アナムネシスに追加して欲しいキャラクター!」
 彼女が一番気にしていた項目がこれだ。いや、気にするどころかこの結果が楽しみで調査を引き受けたのである。
「あー、あまり期待しないでください。では発表しますよ。エレナ師、毒でないネル、アドレー、ネーベル(ネルの父)……以上。ちなみにネーベルは複数の票が入っています」
「え、ちょ、私とラッセルは入ってないの〜」
「はい、残念ながら。このアンケートの直前にバレンタインイベントでクレアが配布されたこともあり、クレアへの票もありませんでした」
「ウェディングドレスのリーンベルさんが導入されたなら、私のぞろぞろした装束も許されるわよね。私がヒーラーで、ラッセルがキャスターで入るんじゃなかったの? アドレーとネーベルも加えてシーハーツ大人世代パーティ組むんじゃなかったの〜。ショック、立ち直れない。空が落ちてくる」
 ロメリアはそれだけ言うと、頬をぷうっと膨らませた。完全に拗ねている。
「私としては参戦しない方がよろしいかと」
「何でよう」
「お察しください」
 私も貴女もパンツ見えそうな服装じゃないですか……。

「ええっと、最後になりましたが、コラボカフェに関するご意見も……ほら、陛下、いつまでも不貞腐れていないでください。コラボカフェに関する意見のうち、いくつかを紹介します」
「皆様の切実な思いが綴られているわね。回答者を特定できそうな気もするけど」
「それは深く考えないのがお約束です」
「ちなみに、これを書いた人の感想は別紙(レポート)をご覧くださいね」


 スターオーシャンらしさがあるメニューで良かったです。そして美味しい。ただ生放送当時のシーハーツ野菜がなくなったのが残念でした。いつか第二弾や他の地方での開催があると嬉しいです!

 ネルさん関連のメニューあったら嬉しい。

 遠方住みな為、上京している家族に通って貰っています(家族もスタオーファン)。各種メニューやドリンクはどれもおいしいと聞いていて、店内の展示もラフ画があったり各作品の関連商品があったりと見所が多いようで、現地に行けない事が本当に悔やまれます(同時に、通ってレポートしてくれている家族に感謝です)。
 グッズ(缶バッジ&コースター)を集めるのに苦労しています。個人的にネルさんの缶バッジがどうしても欲しいので、これからも家族に通って貰う予定です(家族自身もとても楽しんでくれています)。残念だったのは、ラインナップにクレア・タイネーブ・ファリンがいなかったことです。
 もしコラボカフェが今後第2弾と続いたら、その時にはグッズとして出てくれると嬉しいなぁと密かに思っています。
 あとは実際に現地に行けない事が本当に残念です、ネットを見ているとアナムネシスカフェでのファン同士の交流があるようで、羨ましいなぁと思います。
 今後もまた開催して欲しいです。その時は何とか現地に家族と行きたいです。

 まだ行ったことがないので、終了前にシマダのステーキを食べてみたいです!



「というわけで、以上が今回の調査結果になります。……あの、ちゃんと聴いていますか?」
「アナムネエンジェル」
「は?」
「今度はアナムネエンジェルをやりましょう! エレナに頼んで呪文を唱えるとピカーっと光って、施力で変身するやつを作ってもらうの」
 ロメリアはとても良い思いつきのように構想を語っていく。ラッセルは聴いているフリをしながら適当に相槌を打つ。こういう時の彼女に制止の言葉は逆効果であることを、彼は長い付き合いでよく知っていた。だから最後にこう付け加えておくだけにした。
「本人たちにはご自身で交渉なさってくださいよ」


−Fin−